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#3 ぼくらがメディアアートをやる理由|後藤 映則|Ryo Kishi |水落 大

October 4, 2017

 

ゲストは時間の彫刻「toki-」シリーズで世界的評価をもらっている後藤くん。今年の第20回文化庁メディア芸術祭(通称:メ芸)の新人賞で展示、および六本木アートナイトで4作品展示したKishiくん。このメンバーでは最年少ながら大手電機メーカーの気鋭エンジニアでメディアアート作品やクリエイティブ活動にマルチな才能を発揮している水落くん。

この3人の共通点は、会社員として働きながらアーティストとして作品をがっつり作っていることです。

出会ったのは事務局として関わるBAPA(デザインとプログラミングを駆使して、チームで作品を作る学校)で彼らが生徒として入り、活躍していた頃から。

そのため、彼らの独特な個性や制作にまつわる苦悩などを結果から見えない部分をみなさんにお届けできるかなーと思い企画しました。


一部:プレゼンテーション

3人の個性をよく知ってもらいたくて、私からプレゼン前に彼らの日常のことに少し触れました。

 

 

  • A君は仕事と作品づくり約20時間、ほとんど寝てない、幸せ度100%

  • B君はA君とほとんど同じ活動量だけど、人との交流なし、幸せ度1%

  • C君はとてもいいバランスで生活、安定感すごい。幸せ度80%


    誰がどの図とは言わず、想像しながら聞いていただく流れに。

 

水落 大
 

  • 仕事
    今の仕事を選んだ経緯はもともとカメラが好きで写真をとっていて、カメラを作るメーカーに就職。その中で、いずれカメラ撮影という体験も、映像だけ欲しい人にとってはいらなくなるだろう、自動化されるだろうと思っている。
    そして現在の仕事は、カメラマンを全て自動化する仕事にチャレンジしている。
    ただ、人の仕事を奪うというよりは、単純な撮影から人を解放してもっと人間はクリエイティブな映像制作の方に注力してほしいという気持ちが強い。

    具体的に言うと、ライブハウスにカメラをあらかじめ複数台設置しスタッフさんがスタートを押すと全部のカメラの撮影が始まって、撮られた映像は全てクラウドに自動アップロード。ズームしたりタイミングを合わせたりなどの編集も自動化、あとは生成物をダウンロードできるといったしくみ。
    世の中にはルーチンワークのような撮影のニーズも沢山あって撮影の機会を逃している。
    そういった所から自動化していこうと考えている。

     

  • 本業以外での作品つくり
    学生時代から関わっている演劇から影響を受けていて、仕事にも通じるけれど「人・機械・空間」の間に流れるものに着目して作っている。人間の認識能力の面白さとか、そういうところへの研究的興味があってその方向性は昔から変わっていない。本業の仕事で自分のやりたいことができているので、社外では他業種の方と一緒に作ることに刺激を感じている。
     

  • 作品詳細はこちら >WORKS

 


Ryo Kishi

 

  • 仕事
    テレビ局で、視聴者参加型の番組やweb、CMの企画・ディレクションを担当。
    仕事ではプログラムやデザインなど手を動かすことはほとんどない。今の仕事を選んだ理由は元々テクニカルなアプローチから、表現の仕組み(メディア)を考えるのは得意だったけど、コンテンツを考えることが苦手だったため、コンテンツ重視の世界でチャレンジしてみたかった。
     

  • メディアアートではなくて研究者
    外からみればメディアアートやっているひとにみえるかもしれないけれど、ずっと研究者になりたかったから、自分は野良研究者と言っている。単純な現象に着目し、その現象をどう自分なりに表現に消化させるか研究(考えている)。出来た技術や手法に関しては、だれでも使ってほしいという気持ちがある。

    脱効率化、脱汎用化、蛇足促進
    みんなが当たり前におもっていること(効率化、汎用化)を、表現的な視点からいうと面白さをそぎ落としている、無駄と余白をわざと作ってそれを新しい表現としてみてもらうことに注力している。

     

  • 作品詳細はこちら >WORKS 
     

  • 私生活崩壊
    学生時代の制作は予算も使えて、環境もあった。
    基盤の発注も学生時代はとくに抵抗なくかっていたけれど、今は予算もないので配線から作っている。そんな状況で今の生活は机の上もベッドもカオスだし、ダイソン扇風機も自腹で6機買ったりなど。

    どんなモチベーションでやっているのかというと、最終的にできたものが
    アートに興味がない人にも、ぼくの作品を二度見してくれる、驚きとともに笑顔がみたくて作っている。

 

後藤 映則

 

  • 仕事
    大手の空間設計会社の空間デザイナーとして入社。入社時はゲームショーや展示会のブースのデザイン。図面を描いたり、CGでパースを作ったり。今はラボ機能があるチームに所属しており、主にテクノロジーを使用した案件や、映像演出、体験型コンテンツの企画・制作などをやっている。今の仕事を選んだ経緯は広告代理店を受けていたけれど、代理店の審査員に貴方は空間向きですね?と言われ、本当かな?と思って空間の会社を受けた流れで合格。空間はミックスメディアで映像もグラフィックも光の演出もなんでもあるので、面白そうだと思って決めました。

     

  • 影響を受けたこと
    大学では美大だけれども絵はそんなにうまくなくて悩んでいた時に影響を受けたメディアアーティスト岩井俊雄さんから、君の名前には映像の「映」の字があるねと。それで「映像」をものすごく意識しはじめた。のちに卒業作品REVOLVING SCREEN PROJECTで多くの賞を受賞。卒業後ウェディングムービー依頼を友人たちから受けて20本ぐらい作るうちにどんどんクオリティが上がっていてコマ撮り作品(←感動作)で大変な評判に(ウェディングビデオ大賞 グランプリ受賞)。その後、ウェディングムービーのフォーマットとして多くの人に作ってもらうカタチになったのは面白いし、良かったなと思う。
     

  • 本業以外での作品づくり
    自分の場合は特にコンセプト/テーマよりも作りたい衝動からはじまることが多い。
    つくる工程では表面的な美しさや面白さも意識するけれど、その背景にあるものがなんなのか、どうような視点なのかを感じてもらうことを最終的には意識している。ものごとの視点はひとつだけではなく多様な考え方があるのだと感じてもらえれば嬉しい。
     

  • 作品詳細はこちら >WORKS
    代表作にまつわる素敵なインタビューもこちら→SHIKIMEI
     

二部:トーク

 

3人のプレゼンが終わって、休憩時間。濃い内容でなんというか「エスプレッソ3杯飲んでしまった感じ」で咀嚼?味わい麻痺してどうしよう?次なに話そうと困ってしまった。

水落くんは制作に対してコンセプトや哲学があるエンジニアだし(本業も先端で面白いことをしている)、Kishiくんはこの3ヶ月メ芸六本木アートナイトと仕事の両立の死線から脱出してきて変な自虐的テンションだし、後藤くんは見ている人が圧倒されるほどの作品量、受賞歴(知る限り15以上から一部抜粋し、タンバリンマンも丁寧に説明)の話をすすめた。最後に昨日グッドデザイン賞とりました、といっても誰も拍手に至らない(あー、それも取ったんですか、、、なるほど的な)麻痺した雰囲気。笑。

 

というわけで、最初に彼らと出会った頃の話と幾つか話したことをまとめておきます。

 

  • BAPAでの出会いとエピソード
    後藤くん
    入学前に応募作品の提出方法について電話くれたのを覚えている。慎重でコミュニケーション力あるなぁと当初から思っていた。入学課題「卵を描いて卵を動かす」という課題に対して3つ応募があって印象深いのは2つ。1つめは浮遊している卵が町を歩く映像作品。シュールでエモくって伊藤直樹さんが選考時に「いいねぇー」ととても評価していたのを覚えている。もう一つはモニタにいるニワトリに念力をあたえて卵を産ませるという実験映像。後であれは雄鶏でしたとズッコケた話をするところ今も変わらず(そんなネタをいつも持っている)。入学してからは夜中に事務的なメールでやりとりしていても「事務局運営お疲れ様です」とねぎらいを忘れない人柄。合わせて変な実験映像や写真を送ってきて笑わせてくる。卒展までの試作量は群を抜いていた。そんなプロトタイプ約10作品(上記)
    卒業成果は奨励賞
     

     

    Kishiくん
    会った時はテレビ局のアシスタントディレクター的雑務(水を大量に運んでいたり、ぬいぐるみに入ったりなど)のお仕事もやっていた。フットワークの軽い印象のイケメンなのでBAPAに入った理由「制作のことを話せる友達が欲しい」と言っていたのは冗談かと思っていた。しかし、本当で。同じチームだった森本さん、そして後藤くんが「外に食事に誘ってくれる」と、、仲良しになったのが微笑ましい。よく観察しているとオンとオフの雰囲気が全然違う。友達ができて良かった。
    卒業成果は優秀賞

    水落くん
    BAPA2年目「おお、メーカーのエンジニア入ってきてくれた!」と嬉しかった。(この学校は広告界隈にはよく知られていたけれど、メーカーのエンジニアまではリーチしてなかったので念願だった)。彼はバスキュールPARTYは入るまで知らなかったと言う。アート&コードのテーマに惹かれてきた。入学時はこれまでの世界で持つ美意識が高いエンジニアだったと思うけれど、広告代理店の女性プロデューサーが引っ張るチームがタフでどんどん広告文脈でユーザー体験はどうすべきか考える柔軟性と認識を増していく様だった。今では、気安くちょっとした事務局的なヘルプも2つ返事で手伝ってくれて、楽しそうに期待以上にやってくれる。今BAPABARのローカルの演出プログラムも水落くん。
    卒業成果は金賞およびオーディエンス賞
     

  • お金の話
    後藤くんやKishiくんは、軽く車買えるほど年間制作費をかけている。後藤くんのSXSW作品では制作費がウンゼン万くらいかかりそうだったが、制作サポートも自分で探してなんとか完成に漕ぎつけた。交渉も自分でやっている。

     

  • サラリーマンを続ける理由
    3人共通して、アートだけになるとつまらないものしか生み出せなくなりそうなことや一人だけでは関われない大きなプロジェクト、ハードウェアの制作があるからと言う。
     

  • これからの何をつくるのか
    水落くん、SportsDesign.Campでスポーツを拡張する映像体験の作品つくりにとりかかっている、あと人の認識能力をだますような空間演出作品にもチャレンジしたい。
    Kishiくん、ここ3ヶ月ヘビーだったので、ちょっとおやすみ?
    後藤くん、美術館展示、アラブから呼ばれている(?!)など、スケールの大きいことに挑戦していく。


トークの生々しい話は、彼らの勤めている会社との関係もあるので書けないけれど、個性たっぷりのとても印象深い会で、私も勉強になりました。

彼らは表現がどんどん豊かになる世界で、現象に着目し面白さを研究し、人に感動をもたらす装置を作りたいんだなぁと。仕事も好きだし仕事でできない作品つくり(研究)もやる2重人格というか、純粋で貪欲なモノづくりへの探求心がみれました。

参加者のみなさんとしては一人一人の話をもっと深く聞きたかったようで、会が終わってから名刺交換しつつの会話が止まらなかった。

濃かったなぁーー。。。ありがとうございました!

あ、これを読んでいただいた方
展示会から戻ってきた作品の置き場所で死にそうになるようです。
ということで彼らに作品保管倉庫(作品購入?!)応援してあげてください。

オマケ:
プレゼン前に触れたグラフ
A君:後藤くん、B君:Kishiくん、C君:水落くん
#いずれも今の感覚的な数字を聞いたものなので波があります。

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